展覧会報告

第6回『眼と指で楽しむ 書の彫刻 ~チーム光栄 with Blind People』

日     付
2026/09/10 ~ 2026/09/13
開 催 場 所
泉の森会館 2Fギャラリー A・B
住     所
〒201-0013 東京都狛江市元和泉1-8-12

9月13日、第6回「眼と指で楽しむ 書の彫刻 ~チーム光栄 with Blind People~」が無事に閉幕いたしました。

ご来場くださった皆様、ご協力くださった皆様に心より御礼申し上げます。

会場風景はこちらからご覧いただけます。

↓ ↓ ↓

振り返ってみると、今回の展覧会は、触覚書道を始めてからの5年間の歩みと、これから先の未来への挑戦が同時に詰まった4日間だったように感じています。

会場に入ってまず目に入るのは、触覚書道の展示室です。 ここには、触覚書道講座の初級コースを修了した3名

アドバンスクラス13名の作品

そしてそれぞれが制作した干支作品が並びました。

また、8月末の豪雨で被災した石川支部からの作品も、間一髪で会場に到着し、無事に展示することができました。作品が並んだ時には、本当にほっとした気持ちになりました。

 

ご来場の皆様からは 「毎年、受講生の皆さんの作品が進化していますね」 というお言葉を数多くいただきました。

作品を制作した皆さんにとっても、指導してきた私達にとっても、とても嬉しく、誇らしい瞬間でした。

この展覧会の模様は9月11日付けの毎日新聞「書の世界」に掲載されました。

 

また点字毎日の新春特集で触覚書道について取り上げていただいた記事も掲示させていただきました。

 

次の部屋は主にチーム光栄の刻字作品が並びます。

まずは刻字の制作工程の説明 一つの書稿から、凸彫りと凹彫りという異なる技法によって別々の作品が生まれることや、どのような手順で作品が完成していくのかをご紹介しました。

「刻字ってどうやって作るの?」 そんな疑問をお持ちの方に、少しでも刻字の魅力を知っていただけたのではないかと思います。

 

そのほかにも、初心者が最初に取り組む石膏ボードの作品や筋彫り作品、陶器作品なども展示し、刻字表現の幅広さを感じていただきました。

 

壁には、刻字の色々な手法を使って制作したチーム光栄の作品が並びました。

 

そして会場中央では、恒例となった触覚書道体験を開催しました。 発泡スチロールに筆を走らせる参加者の皆さんの表情は真剣そのものです。 晴眼者の方にはまず目を閉じて書いていただきます。

最初は恐る恐るだった手が、一本の線を書き終えた瞬間に笑顔へ変わります。 「書けた!」 その声を聞くたびに、私は触覚書道を始めた頃の気持ちを思い出します。

「見えない人にも書道を楽しんでいただきたい」

そんな想いから始まった活動ですが、5年の月日をかけて、今では見える人も見えない人も、子どもも大人も、一緒に楽しめる場へと育ってきました。

 

今回の展覧会では、新しい挑戦も二つご紹介しました。

一つ目は、3D印刷作品です。 来年3月18日から6月15日まで開催される国立民族学博物館の特別企画展に、「刻字と触覚書道」で出展させていただく予定です。 「刻字と触覚書道」 を多くの方に知っていただくチャンスととらえています。 しかし、その準備を進める中で、発泡スチロールは壊れやすいので、4カ月間の展示には耐えられない という問題が起きました。 そこで浮かび上がったのが、「作品を3D印刷化できないだろうか」というアイデアでした。

早速、新潟大学渡辺哲也先生にご協力をいただき、触覚作品の立体データ化と3D印刷を進めています。 今回は、その試作品として、目・耳・鼻・口の福笑いパーツや、「心」の文字の立体作品を展示しました。

晴眼の方には目を閉じて触っていただきましたが、その様子を見ていると、まるで子どもの頃の遊び心がよみがえったかのようでした。 「こっちが目かな?」 「耳が見つからない!」

そんな楽しそうな声が会場中に響き、触覚で遊ぶことの楽しさを改めて感じる時間となりました。

 

このプロジェクトは、物質・材料研究機構の石井真史先生を中心に 「全盲の方でも漢検に挑戦できる社会をつくろう」という夢から始まりました。 この趣旨に賛同し、当協会でも「ユニカンP(ユニバーサル漢字検定推進プロジェクト)」を立ち上げ、モニターとして協力しています。

これまで「全盲の人が漢字を学ぶ」という発想そのものが、多くの人にとって想像の外側にありました。 しかし今回、土・日に会場で披露された技術は、その常識を大きく変える可能性を秘めています。

これまでのDot Padは、パソコン上のデータを触って確認することが中心でした。 ところが今回のモニター調査では、利用者が実際に書いた文字を取り込み、それを再び触って確認できる技術が初めて公開されました。

 

  私自身も初めて体験したときには 「これなら行ける!!」 と感じました。

参加者の皆さんからも、「未来を見た気がする」という感想をいただきました。 まさに私も同じ気持ちです。

今回の展覧会は、触覚書道や刻字というアナログの世界と、3D印刷やDot Padという最先端技術が出会う場所となりました。

昔から受け継がれてきた文字文化と、新しい技術。 一見すると離れているように見えますが、その両方が目指しているのは、 「誰もが文字を楽しめる社会」 なのだと思います。

4日間、多くの方々とお話しする中で、その未来は決して夢物語ではなく、少しずつ現実になり始めていることを感じました。

そして私たちの挑戦は、ここで終わりではありません。

来年の国立民族学博物館での展示に向けて、3D印刷作品の本格制作が始まります。

今回いただいたご意見や発見を活かしながら、さらに多くの方に触れていただける作品づくりに取り組んでまいります。

また、活動を継続的に発展させていくため、このたびReadyforで寄付の募集もスタートしました。 常設寄付のリンクはこちらです。 ↓ ↓ ↓ https://readyfor.jp/projects/173875?sns_share_token=e94ed2d604dfae926046&utm_source=pj_share_url&utm_medium=social

 

触覚書道は、一人では続けられません。

参加者の皆さん、支えてくださる方々、研究者の皆様、そして活動に関心を寄せてくださる多くの方々とのご縁によって育てていただいています。

これからも、「見える人も、見えない人も、一緒に文字を楽しめる世界」を目指して歩んでまいります。

第6回展にご来場くださった皆様、本当にありがとうございました。

また次の挑戦でお会いできることを楽しみにしております。

 





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